第一テサロニケ書を考える(第1章)

 聖書からの引用は、口語訳からのもの。田川建三訳、尾山令仁訳の二つの訳は好対照で読み比べている。

*真性パウロ書簡のなかで、もっとも最初に書かれたもの。49年から51年の間に書かれたと言われる。パウロの最初の頃の思想がよく分かると言われている。第2テサロニケ書は、疑似パウロ書簡である。


1 パウロとシルワノとテモテから、父なる神と主イエス・キリストとにあるテサロニケ人たちの教会へ。恵みと平安とが、あなたがたにあるように。
2 わたしたちは祈の時にあなたがたを覚え、あなたがた一同のことを、いつも神に感謝し、
3 あなたがたの信仰の働きと、愛の労苦と、わたしたちの主イエス・キリストに対する望みの忍耐とを、わたしたちの父なる神のみまえに、絶えず思い起している。

*イエスの再臨は父である神の前で実現するということを思い起こしている。

4 神に愛されている兄弟たちよ。わたしたちは、あなたがたが神に選ばれていることを知っている。

*神が選んだ、だから神は愛しているという理屈だ。

5 なぜなら、わたしたちの福音があなたがたに伝えられたとき、それは言葉だけによらず、力と聖霊と強い確信とによったからである。わたしたちが、あなたがたの間で、みんなのためにどんなことをしたか、あなたがたの知っているとおりである。
6 そしてあなたがたは、多くの患難の中で、聖霊による喜びをもって御言を受けいれ、わたしたちと主とにならう者となり、
7 こうして、マケドニヤとアカヤとにいる信者全体の模範になった。

*言葉はいわゆる説教のことで、力は奇跡のことで、聖霊とは神による働きかけ、とでも解釈できる。

8 すなわち、主の言葉はあなたがたから出て、ただマケドニヤとアカヤとに響きわたっているばかりではなく、至るところで、神に対するあなたがたの信仰のことが言いひろめられたので、これについては何も述べる必要はないほどである。

*おべんちゃらをパウロは言っている。

9 わたしたちが、どんなにしてあなたがたの所にはいって行ったか、また、あなたがたが、どんなにして偶像を捨てて神に立ち帰り、生けるまことの神に仕えるようになり、
10 そして、死人の中からよみがえった神の御子、すなわち、わたしたちをきたるべき怒りから救い出して下さるイエスが、天から下ってこられるのを待つようになったかを、彼ら自身が言いひろめているのである。

*初期のパウロ思想は、異教の神からユダヤの神への改宗をすすめ、イエスが神の御子であり、復活して再臨し、最後の審判の時には、救ってくれるという内容だったといえる。
 10節の「死人の中からよみがえった」というのは、誤訳であり、田川訳では「神が死人の中から甦らせた」、尾山訳では「神が死人の中から復活させられた」というように、イエスが自分の力でよみがえったのではないという訳になっている。


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